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ペルシア語のことわざ・慣用句(5)

絶望の中にも多くの望みあり。暗い夜の終わりに明るい朝が来る。
در نومیدی (ناامیدی) بسی امید است. پایان شب سیه سپید است.
(Dar nomidi (nāomidi) basi omid ast. Pāyān-e shab-e siyah sepid ast.)

18年間、空港で寝泊まりしていた人の話を、知っていますか?

2004年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の『ターミナル』という映画は、パリのシャルル・ド・ゴール国際空港に18年間暮らした男性の実話を基に制作されたそうです。

この男性は、難民認定を受けて他国へ渡航している最中に、取得した認定証が入ったブリーフケースを紛失したため、パリの空港から出られなくなってしまいました。
しかも、難民に認定されたため、自国にも戻れなくなってしまったのです・・・。

映画では情報が変更されていますが、実はこの方、イラン国籍の方だったそうです。
パリの空港で自らが置かれた状況を悟り、とにかくその場で生きて行くことを決意した時、ペルシア語話者である彼の頭には、この諺が頭をよぎったのでは?と想像します。

در نومیدی (ناامیدی) بسی امید است. پایان شب سیه سپید است.
(Dar nomidi (nāomidi) basi omid ast. Pāyān-e shab-e siyah sepid ast.)
=絶望の中にも多くの望みあり。暗い夜の終わりに明るい朝が来る。

これは、有名なペルシアのロマンス叙事詩『ライラーとマジュヌーン』の中の一句。
12~13世紀に生きたペルシア人の詩人ニザーミー・ギャンジャヴィーの作品です。

いつの時代にも、絶望の最中に人を勇気づける言葉は、多くの人々の心に響いてきたのでしょう。
17世紀初頭、シェイクスピアが戯曲『マクベス』に「明けない夜はない」という名台詞を書き残し、明治生まれの小説家・吉川英治の「朝の来ない夜はない」も名言として伝わっています。

上記のニザーミーの一句は、「クーチェ・バーザーリー」と言われる、テヘランの下町歌謡でも歌われています。約50~60年前の音楽ですが、憂いを帯びたメロディーの中にも、軽快なリズムに元気が湧いて来るような感じがしませんか?

今日も良い一日を!

(この記事は、旧Kimiyaのサイトにて2022.9.1に書かれたものです)

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