モウラーナーさんの知恵 (5):良い解決策を引き出すには
「目には目を、歯には歯を」という言葉があります。
これは、『ハンムラビ法典』に登場する言葉です。
(※今ではこの言葉は、文字通りに「やられたらやり返せ」ではなく、「やられたこと以上の報復を行ってはならない」という意味として捉える説が有力だそうです。)
マハトマ・ガンジーはこの考え方を批判し、「「目には目」をすると世界は盲目になり、「歯には歯」をすると世界は駄目になる」と言いました。
“An eye for an eye will make the whole world blind, and a tooth for a tooth will leave the whole world toothless.”
彼は、悪に対しては、非暴力的な抵抗を行うことが最も効果的な方法だと信じていました。
さて、モウラーナーさんは「オウムと商人」の物語の中で、このような一句を詠んでいます。
گر فراق بنده از بد بندگیست
چون تو با بد بد کنی پس فرق چیست
Gar ferāgh-e bande az bad bandegīst
Chon to bā bad bad koni pas fargh chīst?
もし 私が悪いことをしたために 私から距離を置くのなら
あなたが 悪をもって悪に報いるとき あなたと私との違いは何?
モウラーナーさんは、この句を「友(=神)の仕打ち」に対するオウムの嘆きとして詠みました。
しかし今では、特に2行目の句は、「悪をもって悪に報いれば、悪い人もそれに報いた人も、同等の人間となる」という意味の諺になっています。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアも、「暴力は、何も解決しない。暴力は、より深刻な暴力を生み出すだけだ」と言いました。
彼も、悪に対しては非暴力的な手段を用いることが、より良い結果をもたらすと信じていました。
相手が争いを仕掛けてきたら、どう対処すれば良いか。
始めてしまった争いは、どのように終わりに導くのか。
このような時には、先人たちの知恵に立ち返ってみましょう。
良い解決策は、真実の中にあるのだから。
(この記事は、旧Kimiyaのサイトにて2023.4.3に書かれたものです)