モウラーナーさんの知恵 (2):心の言葉
時に人は、近しい関係にある人を敵とみなすことがあります。
それは自らの利権と利益を守るため、そして嫉妬や怒りなどの否定的な感情によって、同じ民族、同じ言語を話す人間同士、そして同じ専門分野の人同士、親族、家族、夫婦の間にも、起こり得ます。
それとは逆に、民族も宗教も年齢も言葉も超えて、お互いを理解し合うことだってありますね。
ای بسا هندو و ترک همزبان
ای بسا دو ترک چون بیگانگان
پس زبان محرمی خود دیگرست
همدلی از همزبانی بهترست
見よ!心の言葉で通じ合うヒンドゥーとトルクの人々を
見よ!言葉を一にするのに分かり合えない2人のトルクたちを
したがって、単に言葉のみを共有するよりも
お互いを心で分かち合うことこそ、尊いのだ
当時、インドの人々はヒンドゥー、テュルク系民族はトルクと呼ばれていました。
モウラーナーさんはこの詩にて、ヒンドゥーとトルクの人々を、あくまでも例として用いています。
モウラーナーさんはこの詩句の直前に、「お互い言葉が通じ合えば親近感が沸くが、そうでなければ相手に不信感を持つ」とも言っています。
その上で、「(確かに言葉が通じ合えば分かり合えることもあるが)心が通じ合うのが一番良いのだ」と語っているのです。
(この記事は、旧Kimiyaのサイトにて2023.3.7に書かれたものです)